「はい」や「わかりました」が多い生徒
何か説明を受けて返事をしない生徒はあまりいませんが、私の経験上、空返事の疑いのある生徒は少なくありません。
とりあえず返事をしておけば先生の期限は損ねないだろうと考えているのでしょうか。
いい生徒ってどんな生徒なんでしょうか?
一般的には、先生を困らせない生徒ではないかと思います。
先生を困らせないように、あるいは、怒らせないように、生徒はとりあえず肯定的な返事しておこうとするのでしょう。
はっきり言って、これは生徒の利益にならないですね。
本当は「いいえ、まだよく分かっていません。」なのに真実を言えないのですから。
なぜこんな不自然な行動をとってしまうのでしょうか?
その原因はいくつか考えられます。
第一に、否定が悪いとされている風潮。
「いいえ、分かりません。」と言うと、雰囲気が悪くなるケースが多いです。
例えば、学校のような集団の場で、周りが皆「分かりました」という状況での「分からない」は、変な者扱いをされたりします。
全体主義の暗黙の了解のようなものがあり、自分だけ「分からない」と言いづらいのです。これはおかしい!
第二に、生徒が変なプライドを持っていること。
何でも分からなければ、プライドが傷つくとでも思っているのでしょうか。
また、クラスメートの前ではいい恰好をしたいのでしょうか。
そんなの自分のためにならないと気づいて、堂々と「分からない」と主張すれはいいのです。それを嘲笑う者などスルースルー。そんな低俗なことよりも、疑問をきちんと解消することに熱を入れればいいのです。
第三に、とりあえずの肯定的返事が癖になっていること。
これはまるでセンサーのような感じです。
相手の話に間ができるごとに、「はい、分かりました」が飛び出すんですから。
そして、たいていの場合、空返事になっています。
考えて返答しているわけではないのですから。
私は今までいろいろな生徒と接してきて、生徒が話を聞いているかどうかに注意を払って指導してきました。
空返事をする生徒は必ず改善させようと思っています。
また、「分からない」ことは質問や確認をするよう強く促しています。
では、具体的にどのように指導すれば空返事をしなくなるのか。
1つは、空返事の疑いがあると思った直後に、私が話したことを言わせます。
そのとき正しく言えたら空返事ではないことが証明されます。
逆に、黙ったままだったり、適当なことを言うようなら、空返事、そこまで酷くないにしても、話を正しくとらえていなかったことが証明されます。
改善の指導の中で、生徒の中にはこんな言い逃れをする者がいます。
「何と言ったらいいのか・・・言うのは難しいです。」なんて逃げようとします。
私は透かさず、「じゃあ、もう一度言うわな。」と再度機会を与えます。
そのときは真剣に耳を傾け、答えられる生徒は多いのです。
結局は話を聞くことが怠慢になっていただけなのです。
もう空返事をしないことと、分かるまで聞き返すことを求めます。
生徒がきちんと理解できてから次に進むこと、これが私の指導方針の1つです。
生徒が分かっている感じ、だとか、多分いけるだろうなんて嫌いです。
そんな適当な指導をしていると、生徒の学力が高まらないどころか、生徒が真似してしまうかもしれません。
目の前の相手はまるで鏡のような存在です。
指導者は常に生徒の模範でなければならないと肝に銘じています。